【解析入門Ⅰ 杉浦】第Ⅰ章 実数と連続(メモ)
備忘録として読書メモ。今まで無理に背伸びして多様体だのホモロジーだの齧ってみたものの、やはり基礎基本が分かっていないと身につかず表面だけをなぞって終わってしまうことを実感。では集合位相論を、とトライしたが抽象的すぎて迷子になり途中で有耶無耶に。やはりある程度具体的な実数体Rで位相的な性質を理解した上で抽象論に進まないといけないようだ。というわけで本書を購入。
- 作者: 杉浦光夫
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1980/03/31
- メディア: 単行本
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1. 実数
※
以降全体に言えることだが、実数の数直線による直感的イメージに頼りすぎると全てが自明なことに思えてしまって何をやっているのか分からなくなってしまう。数学ガールで言うところの「知らないふりゲーム」をやらなくてはならない。つまり、直感的イメージは捨てて(知らないふりをして)手元にある道具は公理系だけという視点で読まなくてはならない。数直線の直感的イメージを隙のない論理で厳密に表現するとどうなるのか、という視点で読まなくてはならない。
2. 実数列の極限
【定義】数列の収束
【定義】数列の発散
【命題】はさみうちの原理
3. 実数の連続性
【定理】上に有界な単調増加数列は上限に収束する
【定理】アルキメデスの原理
すなわち
すなわち
※
- どんなに小さな a、どんなに大きな b を選んでも na > b となる n が存在する
- 自明な定理に見えるが、この原理が成立しない順序体が存在する
- 例えば有理式 R(t) に辞書順を入れると順序体になるが、アルキメデスの原理は成立しない
【定義】コーシー列
丁寧に書くと
5. 級数
(あとで書く)
6. 極限と連続
(あとで書く)
7. コンパクト集合
以前に位相論の本でコンパクト集合の定義を読んだ時には、コンパクトの概念というかイメージがいまひとつ掴めなかった。
実数体でコンパクト集合のイメージを掴むことが今回の目的の一つ。
【定義】点列コンパクト
の部分集合Kが点列コンパクト = Kの任意の点列がKの点に収束する部分列を含む
※ これはボルツァーノ・ワイヤストラスの定理の概念を に拡張したもの
【定理】点列コンパクト ⇔ コンパクト ⇔ 有界閉集合
Kをの部分集合とする。次の3つは同値。
- K は点列コンパクトである
- K はコンパクトである
- K は有界閉集合である
※
- コンパクトの定義においては、「任意の」開被覆から有限個の開集合を選べるところがミソである。ある特定の開被覆から有限個の開集合を選べるだけではコンパクトとはいえない。
- 開集合はコンパクトではない。つまり開集合の場合には、開被覆の作り方によっては開集合をどう選んでも元の開集合を有限個では被覆しきれない。例えば開集合の境界に無限小のε近傍を無限個並んでいるような開被覆を考えると、そこから有限個の開集合をどう選んでも全体を被覆することは出来ないことが分かる。
- 点列コンパクトは、点列の収束の定義において距離の演算に依存している。一方、コンパクトの定義は開集合による被覆の概念のみで構成されており、距離の概念からは独立している。つまり点列コンパクトや有界閉集合の概念を「距離が定義されない世界」に拡張した概念が「コンパクト」といえるのではないか。